コラム

vol. 004

甘草(かんぞう)とは 《前編》

今回は生薬(しょうやく)の甘草(かんぞう)についてです。
1.甘草は漢方方剤に非常によく使われている生薬で、安中散、四君子湯、十全大補湯、甘麦大棗湯などの漢方方剤に配合されており、方剤全体の約7割に配合されています。しかし、我が国では漢方で利用される以上に、醤油や煙草などの甘味料として使用されています。
2.甘草成分の一般的な作用
源平製薬の健康茶「しゃきり」にも含まれている生薬・甘草の主成分はグリチルリチンで、その他にグラブリク酸、リクイリチン、リコリシジンなどが含まれています。国内における医薬品の規格基準書である日本薬局方では、甘草は主成分であるグリチルリチンを2.5%以上含むことと規定されています。グリチルリチンは砂糖の約50倍もの甘味があることから、前述したような矯味原料として用いられているのです。
3.甘草成分の特徴的な作用、及び甘草を含む方剤の多様な作用
甘草の主成分グリチルリチンは肝機能障害やアレルギーに有効とされており、内服薬や輸液として使用されています。また、甘草中の脂溶性成分グラブリジンは、抗菌作用や抗酸化作用と共に、メラニン(黒色色素)生成を促すチロシナーゼの阻害作用が見出されたことから、美白効果を期待して化粧品等に使用されています。
漢方方剤を構成する甘草は、安中散、四君子湯、十全大補湯、甘麦大棗湯などをはじめとする多くの方剤に、他の生薬を緩和、調和させる目的で配合されており、最も基本的かつ重要な薬草として“国老”と呼ばれることもあります。
方剤としての甘草は、鎮咳、鎮痙、抗炎症、消化性潰瘍抑制、胃上皮増殖促進、抗菌、解毒作用など多くの薬理作用を発揮することが明らかにされています。また、甘草単独から成る甘草湯には、咽喉の痛みや咳を鎮める効果があります。
4.甘草とグリチルリチンの副作用
甘草及びその主成分であるグリチルリチンは大量に服用すると、ナトリウムの貯留やカリウムの排泄促進がおこり、高血圧や浮腫、低カリウム血症などの偽アルドステロン症が現れるようになります。そのため、高齢者、高血圧の人、浮腫のある人、心臓や腎臓に障害のある人は甘草やグリチルリチンの服用量に十分な注意が必要です。
~後編(歴史・動向)に続く~